地震そして雨の、27th全国選抜前半戦
平成17年3月25日
管理者:長野県高体連テニス部委員長 下岡隆志 管理者へe-mail
 全国選抜高校テニス大会が、今年も始まりました。かつて「北九州市に春を呼ぶ」と言われていたこの大会ですが、福岡市に会場を移し今年で2年目。昨年までの博多の森テニス競技場・九州国際テニスクラブに、新たに県営春日公園テニスコート(砂入り人工芝16面)を加え、準備万端で開会式を迎えようとしていました。しかし思いもよらぬ事が起こるもの、開会式前日の20日に福岡市を震度6弱の「福岡県西方沖地震」が襲いました。
「大きな地鳴りがして、最初飛行機の音だと思いました。その後左右に地面が揺れてびっくりしました」(公式練習中だった顧問談)。「タイヤが4本ともパンクしたのかと思った。降りて見てみたけど何ともないのでおかしいと思っていたらラジオが地震を伝えた」(タクシーの運転手さん談)。「店の水槽が大きく揺れて、水が全部外へ飛び出してしまった。怖くて外に逃げようかと思ったが、上から何か落ちてきそうで入り口ですくんでいた」(お世話になった料理屋のご主人談)。
生徒達もきっとびっくりしたと思います。一部のホテルで宿舎変更などがあったようですが、幸い大きな被害もなく、翌日到着した私の目には、なんら変わりない普段通りの福岡市しか映りませんでした。

 21日の開会式は、昨年と同じ博多の森テニス競技場のインドアコートで午後2時から行われました。外はさわやかな、とても良い天気です。晴れの入場行進に続いての主催者挨拶は、やはりどなたもまず地震の話し。歓迎の言葉は、市長さんが地震対策本部長でお見えになれず、教育長さんが代読されました。開会式最後に、全国9地区の男女優勝旗に囲まれて選手宣誓が行われるのですが、よどみなくはっきりとした声で行われたその長い(2分47秒だそうです)選手宣誓は、会場の人々に大きな感動を与えました。私自身にとっても忙しい日常生活の中で忘れかけていた気持ちで、恥ずかしながら反省させられました。皆さんにもお伝えしたく、長岡高校の顧問の先生にお願いして、原稿を頂きました。以下、宣誓の全文です。

 私達はこの福岡の地でプレーすることを目標に、厳しい予選を勝ち抜き、そして今、ここに立ち挑戦できることの素晴らしさを感じています。
この1年は各地で災害が相次ぎ、私が住む新潟県も中越地震で大きな被害を受けました。校舎は大きな被害を受け、学校も休校となり、仲間とあえず、大好きなテニスができない日々が続きました。
しかし、ひとりひとりがこの災害に立ち向かい、また、全国各地からたくさんのご支援や励ましをいただき、頑張ることができました。
何げなく過ごしていた生活が幸せなことを知り、当たり前にあるものを大切にすることを学びました。そしてなによりも、コートに立ちテニスができることの喜びを心の底から感じることができました。
応援してくださった方々への感謝の気持ちをもち、仲間の力の大きさすばらしさと、この大きな舞台でプレーできることの喜びを、全身を使って思いきり表現したいと思います。そして、被災された多くの方々に元気を伝えたいと思います。

宣誓
私達選手一同は日頃の練習の成果を十分に発揮し、精一杯全力で戦い抜くことを誓います。
               平成17年3月21日  選手代表 新潟県立長岡高等学校テニス部主将 菅原 梨沙


 全国選抜を見るのは、私はこれで5回目。3年前だったでしょうか、開会式前日に前が見えなくなるほどの黄砂が降りました。たしか桜も満開で、桜の花びらが風に乗って舞っていたのもこの年ではなかったかと思います。4年前は、気温が連日20度を超え、汗をぬぐいながら半袖でコートを抱えていました。「春」の穏やかなイメージの強い全国選抜、ところが今年は大会初日から、ものすごい天気が続きました。

<3月22日>朝から冷たい雨、断続的に待機を続け(インドアコートのスタンドは、選手と補助員・観客でぎっしり)、ついに午後2時頃、延期が決定。本当に大会運営泣かせで、雨に打たれて凍える補助員生徒泣かせで、子どもの晴れ舞台を一目見ようとやってきた親泣かせの天気です。長野県から親子4人で来られた方は、開会式だけ見て試合が始まらないまま、仕事が休めないとのことで、帰って行きました。
<3月23日>朝から雨。比較的状態の良い春日公園と博多の森インドア(4面)は早めに開始できたものの、メイン会場の博多の森屋外は待機。天候の状況から、本日予定していた全ポイント打ち切りなしでは終了できないということで、誠に残念ですが勝敗決定後の試合打ち切りという決定が為されました。博多の森屋外も11時には開始され、コートに応援歌が飛び交いました。しかしやはり途中で激しい雨、雨中の試合となりコートに水がたまってしまい中断、午後雨が上がり夕方遅くなりましたが、ベスト16が出そろいました。
<3月24日>本日は、3回戦。ベスト8をかけて8ゲームマッチが行われます。しかしまたしても朝9時に雨が降り始めました。雨中予定通りの10時に試合は始まりましたが、昨日にも増して冷たい雨で風も強く、やはり中断を交えての進行となりました。極めつきは午後1時半頃、激しく吹き付け、当たると痛いあられのような雪!十分な防寒衣料を持ってきた観客は良いのですが、雨に当たり強い風に冷やされ大変でした。選手達もトスが流れロブが曲がり、苦労していました。寒冷前線が通過したのでしょうか?その後、更に冷え込んだものの晴れ間ものぞき、ベスト8が出そろいました。個人戦については、朝から断続的に水取りを繰り返したようですが、ハードコートの為試合に入れず、午後延期が発表になりました。

 何だか天気の話しばかりで、恐縮です。公式サイトなどの試合情報が、大変充実しておりますので、そちらをご覧下さい。博多の森は、昨年も書きましたが、コート毎に木々でセパレートされていますので何コートも俯瞰することが出来ず、また5ポイントの団体戦で長野県代表の試合を応援していると同時進行する他の試合を見に行くことが出来ず、観戦記を書けるほどの情報を収集できませんでした。また雨の為コート間を動き回ることが面倒で、特に24日はあまりの寒さに固まってしまい、ますます動けなくなっていました。
ベスト8には、男女とも関東代表が4校ずつ入りました。明日は、準々決勝と準決勝、さてどの学校が、勝ち上がるのでしょうか?
ただ今私は福岡空港の出発ロビーでこの記事を書いております。出発時間も遅れておりますし、中部国際空港強風のため、羽田か関空へ着陸するかもしれない、などという放送も流れています。   (文責:下岡隆志 3月24日19:30 福岡空港にて)