第28回全国選抜高校テニス大会レポート
平成18年3月26日
管理者:長野県高体連テニス部委員長 下岡隆志 管理者へe-mail
 3月21日は天気曇り、第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝戦が行われた11時から、私たちは全国専門委員長会議を「博多の森庭球場センターコート会議室」で行っていました。祝日でもあり、その視聴率はプロ野球中継の歴代視聴率でも3位!、瞬間最高は日本の優勝が決まった午後2時58分で、56.0%にも上ったそうです。2次リーグで2敗して、ほとんど90%以上準決勝への望みを絶たれていた日本、そこからの奇跡の大逆転優勝は、日本中を興奮の渦に巻き込みました。特にここは王監督のご当地、大変な盛り上がりだったようです。前夜のミーティングで監督さん、「テニスはやってみなければわからない。日本の野球だって…」、そんな話しはしませんでしたか?。博多に集結した各校の保護者の皆さん、「向こう30年は手は出せないな、という感じで…」、などと気勢を上げていませんでしたか?
 さて16時からの開会式ですが、準備が進む15時30分頃、雨がポツポツと落ちてきました。昨年まではインドアコートで開会式を行っていましたが、今年はセンターコートとそのスタンド(収容人員3450人)を使う計画になっていました。USオープンのナイトセッションをイメージしたそうで、入場行進した900名の選手が正面スタンドに座ると、色とりどりのウェアがとてもきれいだったと思います。そして左右はブラスバンドとアトラクションの高校生たち、バックスタンドには応援の生徒たちや一般客です。アトラクションには高校生による勇壮な太鼓の演奏が用意されていたようです。しかし雨は激しさを増し、急きょインドアへ会場が変更になりました。準備を進めてきた関係者の皆さんには断腸の思いだったと思いますが、入場行進やアトラクションは対応できないため取りやめになりました。昨年天候に泣かされたこの大会、今年も波乱のスタートです。開会式では、関西高校草加敏裕主将が、「…かかわりのあったすべての人々への感謝の気持ちを持って…感動を与えるプレーをすることを誓います」と力強く宣誓、大きな拍手を集めていました。

 22日は団体戦1回戦で8ゲームマッチ、1・2回戦まで本年は打ち切りなしで行われます。天気は小雨、しかしコートに水がたまるほどではないので予定通り試合は始まりました。私は今年初めて会場となった、今津運動公園へ向かいました。今津運動公園は、博多からは地下鉄(JR筑肥線へ直通)+駅からバスかタクシーで40分ほど、直行のバスでは1時間位の、福岡市の西の端に位置します。海に近く風が強いらしく、防風ネットはもちろん張ってあるのですが、4コートずつセパレートされたフェンスの外には、コートを取り囲むように生け垣が植えられており、一方向からのみの観戦となります。
9時30分に一斉に試合が開始されました。各コートに響き渡る応援の声、女子の良く響く替え歌を聞いていると、「あー、始まったなあ…」、そんな気持ちになります。スタートは、傘をさしての観戦でした。シングルス3本、ダブルス2組、計7名の選手によるチーム対抗戦。試合順がS1→D1→S2→D2→S3ですので、今大会の1・2回戦のように1面進行の場合は、2−2でS3にかかった時のS3へのプレッシャーは相当のものがあります。
 記録を見てみますと1・2回戦34対戦中、3−2で終わった対戦は、男子で12(35%)、女子で7(21%)、特に男子の2回戦が接戦だったようで、16対戦中9対戦(56%)が、3−2でした。私は23日、女子松商学園対浜松市立の2回戦の試合を見ていました。勝敗がかかって最後に残ったD2、1ポイント1ポイント毎にかかる両校の大応援、ものすごい緊張の中で選手たちは戦っていました。最後勝って泣きながらしゃがみ込む選手、負けて全員泣きながら整列し挨拶する選手、泣きじゃくる応援の生徒、その姿を見てもらい泣きするお母さん方。勝つ者がいれば負ける者もいる厳しい勝負の世界ですが、重い物を背負いながら戦う、団体戦ならではの風景でした。
 24日は団体戦3R、興味深い対戦が目白押しだったので当初博多の森へ行くつもりでいました。ところが、「一度個人戦を見においでよ、おもしろいから」、という誘いがあり、「高校テニスはやっぱり団体戦だよなあ」などと心の中で思いながら、とりあえず九州国際テニスクラブへ向かうことにしました。しかし、しばらく見ているうちに、すっかりはまってしまいました。ここには、華やかな応援合戦は一切ありません。しかし戦っているのは、各都道府県のNo1の選手たち、その選手たちがUSオープンJr最終予選出場をかけて、高いモチベーションで戦っています。また何と言ってもコートサーフェスの違い。昨日までの人工芝コートでは打点を落としてつなぎあうことが可能でしたが、ここのハードコートでは高い打点からボールをたたいていけないと、なかなか勝機を見いだすことができません。全国の高校生トップ選手をまとめて見ることができるこの会場、明日のNo1をめざす小中学生選手達にとっては大変参考になる会場のようです。
さて、私はこの会場より帰郷のため空港へ向かいました。空港のラウンジより確認しましたが、団体戦ベスト8へ進出したのは、男子は九州2・近畿3・関東3、女子は九州3・近畿3・関東2でした。この3地区はテニスの盛んな地区ではあるのですが、他6地区がベスト8に1本も入ってこないという状況も極めて珍しいのではないかと思います。さて栄冠はどの高校の上に輝くのでしょうか?。

 本日26日、決勝戦の結果を公式サイトで知りました。女子は、関東No1堀越と近畿No1長尾谷のシード校対決。3−0で栄冠を手にしたのは、長尾谷高校(大阪)、嬉しい初優勝でした。
 混戦の中、決勝戦まで1敗もせず圧倒的な強さで勝ち上がった男子の2チーム、柳川高校と長尾谷高校の決勝戦は、高いレベルで大接戦となりました。2−2の後、S3を制したのは長尾谷高校。男子長尾谷高校は、初出場初優勝!そして、男女アベック優勝は、第23回の柳川高校以来5年ぶり、歴代2回目の快挙です。選手の皆さん、関係者の皆さん、本当におめでとうございました。


 さて私事で恐縮ですが、この度長野県高体連テニス専門部委員長を退任いたしました。6年間大変お世話になりました。その間5年前に、このサイトを開設しました。最初はどうなることかと思っておりましたが、多くの皆様方に見ていただけるようになり、また様々な方々からご意見いただき、大変勉強をさせて頂きました。退任に当たって、このサイトの管理についてずいぶん考えましたが、現場を離れる私より全国専門委員長会議に出席でき情報を入手できる方に引き継いで頂く方がベターであると考え、千葉県の委員長である佐藤篤也氏にお願いし、快諾頂きました。佐藤氏は昨年の「千葉きらめき総体」を運営し、また早くから、「千葉県高体連テニス専門部サイト」を運営されていた方です。
 離れるに当たっての寂しさは、隠すことができません。「この仕事は自分にしかできないんだ、自分だからできるんだ」、そんな自負や意気込みで取り組んでいた時期もありました。でもある時、こんな言葉を耳にしました。「自分の代わりはいない!そんな風に思い始めたら、あなたもワーカホリック(働き中毒)」。管理者は移り変わっていきますが、組織は幾先々まで続いていきます。今後とも「全国高体連テニス部公式サイト」を、よろしくお引き立てお願いします。
 (文責:管理者 下岡隆志)