長崎ゆめ総体、前半戦レポート
平成15年8月1日
管理者:長野県高体連テニス部委員長 下岡隆志 管理者へe-mail
 7月28日、好天の下、総合開会式が長崎駅前からシャトルバスで30分、長崎市総合運動公園で行われました。私はその頃、名古屋空港でテレビ中継を見ていましたが、地元高校生のアトラクションも素晴らしく、大変な盛り上がりのようでした。総合運動公園は、長崎市街地の西の高台にあり、陸上競技場サブ、メインと、テニスコート、ソフトボール場など備えた立派な施設です。四方を山に囲まれ、歓声の合間に耳に届く蝉の声が、一層暑さをかきたてます。テニスはもう1会場、長崎市営庭球場も使用しますが、こちらは平和公園の下、浦上川に面したスポーツエリアの一角で、7面だけで他種目の競技者もいないため、やや寂しい感じもします。

7月29日、男女団体1回戦が1面進行で始まりました。戻り梅雨のような前線がかかり、天気が心配されましたが、案の定、1試合が終わるか終わらない内に雨が落ち始め、中断再開を繰り返しましたが、ついにものすごい雷雨となりました。雷はすぐ近くに落ちるし、前が見えない豪雨で足下は川のようになり、浦上川もみるみる水かさを増していきました。12時頃、本部決定でサスペンデットが決定。午後遅くに1試合くらい出来るのでは、と思いましたが、どうも本部決定が正しかったようで、午後も急に雨が降っては止む天気が夕方まで続きました。各校の顧問は、びしょぬれになった選手の服を洗濯するため市内のコインランドリーを探し回ったようです。日程変更に伴い、翌日の1回戦は予定通り8ゲーム(ただし勝敗が決定後の試合は打ち切り)、2〜3回戦は8ゲームから1セットマッチへ、SFは3セットマッチから8ゲームへと変更されました。当然勝敗に影響しますし、1回戦戦うことが出来ず帰らなければならない選手も出て気の毒なのですが、総合体育大会の為、日程を後ろに伸ばすことは宿泊施設の面からもコート(終了後ソフトテニスが開幕)の面からも不可能である事、ご理解頂きたいと思います。

7月30日、曇り空の下、昨日の続きよりQFまでが行われました。熱戦が繰り広げられ、男子ベスト8にシード校7校が残り順当かと思われましたが、QFで波乱がありました。1、3、4シードが倒され、柳川(福岡)を破った湘南工大附(神奈川)、浦和学院(埼玉)を破った日大三島(静岡)、清風(大阪)を破った明石城西(兵庫)と、第2シード名古屋(愛知)の4校が翌日へ駒を進めました。女子ベスト8は、順当に8シード校が勝ち上がりました。こちらは、第1シード園田学園(兵庫)、第2シード四天王寺(大阪)、第3シード柳川(福岡)と、共栄学園(東京)を破った第5シード仁愛女子(福井)が、翌日のSFを決めました。試合を見ていて感じたことですが、1回戦からどの試合もレベルが高く、見応えがありました。5、6年前は、S1はそこそこであっても、DやS2になると愕然と力が落ちるというチームも多かったのですが、全国的に競技のレベルが向上してきている事が実感されました。

7月31日、いよいよ準決勝と決勝です。8時30分から8ゲームで行われた準決勝では、女子は園田学園(兵庫)と四天王寺羽曳丘(大阪)が、男子は明石城西(兵庫)と名古屋(愛知)が、決勝へ進出しました。決勝戦は、男子が3面同時進行で、女子はテレビ中継の関係もあり1面進行で、3セットマッチで行われました。男子決勝は、全国1か?と思われる大応援の城西と、負けじと声を張り上げる名古屋応援団の双方大声援の中激しく進行しました。結果だけ見た方は、2−0で名古屋の圧勝、と思われたかと思いますが、途中までどちらが勝つのかまったくわからない五分の展開で、見る者を緊張させました。ダブルスは、1セット目城西の脇・岡田が競り勝ち7−5、2セット目はボレーの切れが戻り盛り返した野上・長谷川が6−2と取り返し流れに乗るかと思いましたが、ファイナルセット城西が奮起し有利に試合を展開。同時に行われていたS1では、名古屋のエース成瀬が1セットを6−2と城西の小川を圧倒し、このまま走るかと思った2セット目小川の必死の粘りで5−5、S2の名古屋の鳥屋も城西の澁谷を1セットタイブレ勝利の後、この時点で第2セット4−4。3本とも勝利の行方は混沌としていました。いつも冷静な名古屋の成瀬、ここからはポイント毎に大きな声を出し闘志むき出しで対抗。粘る小川を7−5で突き放し、まず1勝。それに勇気づけられたのか鳥屋も澁谷を突き放し、6−4。この時点で、名古屋の優勝は決まりましたが、ダブルスは4−2で城西がリードして打ちきりになりました。両校声も枯れんばかりの大声援の中、本当に見応えのある決勝戦でした。城西のS1小川、ラリー中のボールがネットに当たりポトリと成瀬のコートに落ちポイントを取ると、軽く手を挙げ「すまない」のポーズ、そして両校の大応援団も一言もそのポイントに対して声をあげませんでした。当たり前と言えば当たり前なのですが、この白熱した状況の中、本当に良く鍛えられていると、その点も感心させられました。

女子の決勝は、1面進行の為、長い戦いとなりました。ダブルスは同時に行われた男子の方を見ていたため、良く見ておらず申し訳ないのですが、四天王寺の辻村・吉山が、園田の中西・宮城を6−4、7−5で振り切って先勝しました。続くS1は、ライジングで叩く園田の大西と、つないで粘る四天王寺の富山の対決で序盤大接戦を演じました。6−4で第1セットを大西が取ったところで、私は帰郷のため長崎駅前へ戻り、喫茶店に飛び込みテレビ放送で続きの結果を知りました。第2セット6−0で大西が取り、勝敗はS2にかかったようでした。S2園田の久見と四天王寺の伊藤は、3−6、6−3と五分の展開でファイナルセットへもつれ込んだようです。テレビ放送も途中から実況に切りかわりましたが、たぶん放送時間内に終わらなかったのではないでしょうか?私もリムジンに飛び乗り空港へ向かってしまいましたので、結果はその後知りました。ファイナルセット5−5から、久見が痙攣するアクシデントを乗り越え、タイブレークを制したようです。まさに死闘と言える長い戦いで、園田学園は伊達公子さんを擁した15年前以来6回目の優勝を飾りました。惜しくも敗れたとはいえ、四天王寺羽曳丘は春の覇者、そして昨年に続いての準優勝。この悔しさをバネにまたものすごいチームを作って選抜に乗り込んでくることと思います。

さて、それ以外のチームで印象に残ったのは、女子3位入賞の仁愛女子でした。準決勝で優勝した園田と1−2の接戦を演じたわけですが、このチームでテニスの中学生までの実績があるのはS2の川内だけ。S1の綾部は全くの無名選手、テニスがしたいと自分から仁愛に入ってきた選手で、Dの前田は中学までソフトテニスだけ、Dの恒松に至ってはバレーボールの選手でした。それがひたすら走ってつなぐ地味なテニスながら、全国上位に入っていけると言うことは、全国の多くの選手に希望を与えてくれるような気がします。観戦していた他チームの監督も、「ちょっとの違いが大きな結果の違いになっていく」、「この、ちょっとの違いって何なんだろう」などと話しをしていました。

本日、8月1日からは個人戦が始まっています。団体戦の重い重いプレッシャーから解放された選手たちが、力一杯戦っていることと思います。選手の皆さん、運営や審判の生徒の皆さん、頑張って下さい。