開設3年目を迎えて
平成15年6月12日
管理者:長野県高体連テニス部委員長 下岡隆志 管理者へe-mail
 このあいだ全国選抜大会が終了したと思っていたのに、もう梅雨入りだそうです。全国から送られてくる都道府県大会の記録を加工・掲載する毎日ですが、時の経つのは本当に早いものですね。「高校テニス各都道府県大会の記録」HPも、3年目を迎えました。
 おかげさまで、皆さんに支えられて、アクセス数も23万に届こうとしております。昨年の記事を読み返してみると、昨年2月中旬のアクセス数が3万4千とありますので、ここ1年で急激にアクセス数を増やしたことになります。このことはHPの内容の問題ではなく、情報にアクセスできる人が急速に増えているからなのでしょう。情報化社会の伸展、実感しています。

 かつて情報の入手が困難だった時代、全国大会へ進む監督は他県の知り合いの顧問に連絡をしては結果を送ってもらい、別の監督はさらにその人へ頭を下げて情報を教えてもらっていました。そのころ「情報」は宝物であったわけで、まさに隔世の感ですね。
 「情報」って「水」に似ています。無い時は貴重なのですが、ある時はそれが当たり前になってしまいます。また、情報化社会においては、常に情報の「受け手」の方が「送り手」よりも意識もスキルも進んでいます。「受け手」はさらにそれ以上のものを求めるのが常なのですが、「送り手」に無理がかからない程度に、少しずつ少しずつ良いものにしていけたらベターである、程度に考えてくれたらありがたいと思うのです。各都道府県の専門委員長さんが、大会運営後疲れた体で記録の整理をし、深夜にメールで送って頂いている状況を見るにつけ、催促する身でありながら「本当に申し訳ない」と思ってしまいます。でも、その甲斐あって、高体連の全専門部の中で完全に全記録を公開できる唯一の専門部となりましたし、各都道府県テニス専門部のHPも、14も立ち上がりました。これって、結構すごいことなのですよ!もう1年たったら、更に状況は大きく変わっているのでしょうね。

 そんな中、今まで論じる方法のなかった組織の運営や方針に対する意見が、各種のメディアを通じて表に出るようになりました。改革を厭う組織は停滞しますので、意見や批判がダイレクトに伝わることは、とても重要なことだと思います。
 高体連テニス専門部に対しては、皆さんご存じの通り、昨年来「ナンバー誌」、「JTAポータルサイト」、あるいはテニス関係諸HPの掲示板、本年テニスマガジン7月号など、「海外遠征45日間規定」をめぐる様々な意見が沸き上がっています。テニス専門部としましても、今夏の全国会議で検討をすべく各都道府県専門部で話し合っているところのようで、ぜひ皆さんの意見も、顧問の先生や、各都道府県HPなどを通じて表明してみては如何でしょうか?
 ただし、匿名で自分の立場のみ主張するもの、相手方の経過状況を理解しようとしない論調は、「意見」ではなく「暴言」だと思います。多くの建設的な「意見」が集約されてこそ力になるのだと思います。

「海外遠征45日規制」等に関する私見       *参照:全国高体連テニス部海外遠征内規
 高校生にとって真夏の2大イベントは、高校総体と全日本ジュニアですが、その盛り上がりにおいて両大会は、比べるべくもありません。高校総体テニス競技は、全国11万余名の高校テニス部員がめざす世界最大規模の大会です。そしてそこには、様々な苦しみや喜びや汗や涙が凝縮されています。団体戦は言うまでもなく個人戦であっても、都道府県、更にその下位大会で敗れた多くの選手の、また地域や学校の名誉と期待を背負って戦う大会になります。
「ジュニアテニスも高校テニスも同じテニス、何ら変わりはない」、という意見は一見正論のように聞こえますが、私にはどうも違うような気がしてなりません。高校生部員の95%以上は、高校に入って初めてラケットを握ります。そこからわずか2年間で、3年時の高校総体を目指しています。また、そこには様々な生徒達がいます。このあいだ県の大会で、朝選手がそろっていない学校がありました。「どうしたの」と聞くと、顧問は「あの子、家が貧しくて宿泊費がだせないんです。少し遅れて電車で来ます。」とのことでした。非行を繰り返し学校から気持ちが離れてしまった生徒もいました。そんな生徒を支えてこれたのは、テニスでありテニス部の仲間であり顧問であった、そんな話しも聞きました。決して上位大会には進めないけれど、そういう様々な思いや関わりによって支えられているのが、「高体連テニス」なのです。

 さて、海外遠征45日規制に関する私の考えですが、現在、海外留学を行う生徒も増えており、基本的に留学先で取得した単位を自校の単位に認めるケースも増えてきています。そんな時代を考えると、このテニスの規定、撤廃しても良いのではないかと考えています。ただし、その規定が意図した所があるはずであり、それを別の規定で置き換えてみたらどうかとも思います。
 例えば、「高校総体に出場する選手は、自校のテニス部で活動する選手であること」、というのは如何でしょうか?仮に民間のクラブで練習する生徒でも、最低週に1度だけでも、自校の選手たちと練習してもらいたいのです。学校の仲間に、自らがボールを出してやったり、アドバイスや見本を見せてやったりし、ともに向上する、それが高校テニスのあり方ではないのでしょうか?まったく学校で練習しない選手が、ビッグタイトルであるという理由だけで高体連の大会に参加することには、疑問を感じています。
 それでは、年間100日間も海外へ出ている選手が出てきた場合どうするのか?という問題ですが、細かいことですが週1回学校で練習というと年間40日間位にはなります。そこに収まらない生徒は、もう自ら自分の道を選ぶべき、と言うしかありません。

 また、団体戦について一部誤解があるようですが、現在の規定では「全国大会に出場する選手は、都道府県大会、地区大会の期間、当該会場にいなければならない。その期間に、他の大会や遠征や強化練習で別の場所へ行っている為に、団体戦のメンバーから外すことがあってはならない」、となっています。選手を選ぶのは監督ですから、仮に地区大会のメンバーから外されたとしても、選手は部員として会場で応援しなければなりませんし、そのため地区大会にメンバーで出場できなかった選手がいたとしても、全国大会のメンバーに入ることは可能である、少なくとも私はそう解釈しています。
 この規定については、私は最近、「今後とも継続すべき」と思うようになりました。
 やはり、仲間とともに応援し励まし合って、全国大会まで登りつめるプロセスが、「高校テニス」では重要だと思います。仮に、日本代表として選抜されそれが予選大会とバッティングするような事態が生じても、どうするかは選手の判断で決定しなければならないと思います。すべて選手のために周りがお膳立てしてあげていては、その選手は本当の意味で強くはならないと思いますし、常に決断してその決断を自分の責任として引き受けていけるような選手になっていかなければならない、と思うからです。
 
 準公式的なサイト上で私見を述べて良いものやら迷いましたが、皆さんの議論の一助に、と思って掲載しました。皆さんのご意見もお待ちしております。ぜひ、このコラムに掲載させて下さい。